料理人が斬る! 熊本の逸品食材01

熊本の、鱧(はも)を斬る!

KABくまもと5ツ星ブログ復活します! 日本料理おく村の奥村です(^_-)-☆

日本料理の世界の立場で、旬のものだったり伝統文化だったり食を絡めて発信していきたいと思います。これからも宜しくお願いします。

 

さて、くまもと5ツ星企画ブログリニューアル
第一回目は『鱧(はも)』

鱧と言えば熊本では天草の『黄金の鱧』がありますね。
熊本ではこの時期になると骨切をし、湯引きした物がスーパーなどに並んだりしますが最近では鱧も高価な物になってしまいました。

鱧は梅雨の雨を吸って美味しくなると言われています。

そして鱧は3回の旬があるって知っていますか?

まずは梅雨の始まり6月頃の『走りの鱧』はまだ産卵前で脂がのり始めるが淡白な感じの味で、沢山の梅雨の雨を吸った7月頃の『旬の鱧』はお腹に沢山の卵を持って脂ものりまさに絶好調!

そして卵を産んで痩せ始める8月以降の『名残の鱧』は適度に脂も落ち、淡白な感じの身質になっていきます。

6月から7月はじめの時期、お刺身で食べる際など梅肉で食します。

梅雨の雨を吸って美味しくなる鱧はおなじ頃に漬けあがる梅との相性は抜群で、おく村ではこの時期に梅干しを作り、調味した特製の梅肉醤油に山葵を溶かして召し上がって頂いています。

鱧を使った料理もそれぞれに合わせた調理法があります。
御椀物にお刺身、揚げ物、しゃぶしゃぶ、土瓶蒸しみたいな感じです。

 

さてそれでは皆さん、鱧ってじっくり見た事あります?

鱧って美味しいんですが、

凄い狂暴なんですよ(笑)

生きているものを〆る時何度も噛まれた経験アリ。
結構痛いんです・・・

しかも噛んで暴れるんで傷が・・・イタイ・・・
首に包丁を入れて〆た後でも暴れ狂う本当に怖いやつで。

〆た後も暴れたり生命力が抜群という事で海が遠い京都などでは重宝され、名物料理になっていったと言われたりします。

 

そんな怖い鱧ですが、美味しいから鱧の時期になると毎度献立に入れちゃいます。
ご存知の通り、鱧は小骨が多い為骨切をして食べやすくし、湯引きして調理します。

骨切は1寸25本と言う言葉があり、1寸は約3㎝なので約1mm幅くらいで包丁を入れていきます。
鱧の骨切包丁も専用の包丁があります。
出刃包丁を細く長くしたような感じの包丁なんでこの時期にしか使わない季節現地の包丁でもあります。
ちなみに僕の使っている骨切包丁は世界に5本しかないさらに細身の特注品なんですよ。
その包丁に負けないように精進しようと思っています(笑)

簡単に身を切り込んでいくのではなく、皮を一枚残してギリギリで鱧の身に包丁を入れていくんです。
しかも薄くても食感が悪くなるのでギリギリ身の厚みを感じれるくらい。
僕は薄過ぎると美味しくないと感じるので骨を感じないくらいのギリギリ厚めに包丁を入れます。

召し上がるお客様に骨が当たって痛い!って言われないように丁寧に骨切していきます。
今回は煮物椀用に牡丹鱧(ぼたんはも)です。
綺麗に骨切が出来れば次の工程は粉打ちします。

骨切した鱧に片栗粉を丁寧に一枚一枚打っていき、一度ボイルします。

その名の通り牡丹の花のようです。
粉を打つ事によってつるつるとした食感と見た目も涼しく感じられます。

いよいよ『旬の鱧』の時期に突入です。
美味しい鱧を様々な料理で是非召し上がってくださいね(^_-)-☆

 

ではまた来月♪

この記事を書いたひと

奧村 賢

京都の老舗割烹 熊魚菴(ゆうぎょあん)たん熊北店にて修行後、帰熊。自ら土の上に立ち、生産者や生産物と対話する事で得られるインスピレーションを元に献立を立てることを大切にしている。日本料理の伝統文化を守りつつ、新しい世界にも邁進し、現在は肥後野菜のひとつでもある水前寺のりの普及活動にも力を入れている。
2014年、KAB開局25周年記念の[元気フェスタ]にて、熊本県内の超こだわり食材を使い、タレントの上田アニとともにオリジナルの5ツ星弁当を制作。

[日本料理 おく村について]
明治3(1870)年魚屋町にて魚の仲買経営から小さな店[飯屋 おく村]としてはじまる。昭和2(1927)年料亭おく村となり、2020年で150周年の歴史を持つ。現在飯屋おく村から六代目。

https://www.e-okumura.net/
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