野菜王国くまもとすむーじぃ38

初夏にありがち「チョイ」疲労には

楠若葉を渡る風も爽やかな季節になりました。

「五月病」ともいわれる、なんとなくの不調…。春の環境の変化でゴールデンウイークを過ぎた頃に感じる、なんとなく体調が悪い、やる気が出にくい…心身の不調を感じたときには、香りも楽しめるスムージーはいかがでしょうか。

果糖が豊富なメロンで疲労回復、ビタミンCが豊富。ストレスを和らげ、リラックス効果が期待される香リ成分に富んだセロリを組み合わせたスムージーをご紹介します。

材料
メロン     100g
セロリ     50g
水       10~20ml

作り方
1)メロンは皮と種を取り除き、一口大に切る。
2)セロリは一口大に切る。
3)ミキサーにセロリ、メロンの順に入れてふたをし、15~20秒回す。


<セロリのこと>
独特な香りが食欲をそそり、シャキシャキした歯ごたえが特徴の野菜。
香りの成分であるセネリンとセダノリッドは、食欲増進、精神を安定などに優れた作用が期待できます。カリウムが豊富なので、血圧低下のはたらきや、食物繊維による便秘の解消にも役立ちます。

セロリの生産者を訪ねて
熊本市西区にある「清正農園」の西 孝弘さん。

西さんに初めて出会ったのは、伝統野菜「熊本長にんじん」を料理教室でつかうために分けてもらうために出かけた冬の寒い日だった…。その時から、今も、いつの時も口になさる言葉がある。

「まず食べてみて!」「食べてみらんと、わからんでしょう」その言葉には重みがある…。自信もって栽培、出荷されていることの証だと感じます。

ヨーロッパ、地中海沿岸が原産のセリ科オランダミツバ属の野菜。日本への伝来は、16世紀末、加藤清正が朝鮮出兵の折に持ち帰って植えたことから、「清正人参」とも呼ばれています。

清正農園近くに、治水の神様と呼ばれる加藤清正が注力した1級河川白川が流れていて、堰がある。その堰があるゆえに、清正農園が営まれる圃場周辺にはミネラル分が豊富で肥沃なのではないかと話されるのです。セロリは代々栽培されて今年で55年目。『調べてみると加藤清正はどうも朝鮮人参の種といわれて持ち帰って植えたら、生えてきたのはセロリだったという逸話もある…』と教えてくださいました。

入った途端にツンとくる独特の香りと翡翠のように美しいグリーンの葉っぱたちが目に飛び込んできます。こちらで栽培されているのは、「緑色種」。西さんが異業種から代々営まれる農業分野に入られて14年…試行錯誤しながらブレンドしたオリジナル肥料を与え始めたところ、より甘さが加わったので「清正のフルーツセロリ」として売り出されています。今回も「まず食べてみて!」1本かいでくださったものをいただくとフルーティで爽やかさな香りと甘さが口の中に広がりました。

デリケートで栽培しづらい野菜ながら、安心安全なものを届けたい信条のもとに栽培される確かな味は県内外のシェフやバイヤーに人気を博すという逸品ですが、まだまだよりよいものを作っていきたい…との語ってくださいました。


清正農園のフルーツセロリはこれが目印

清正農園HP
kiyomasanouen.com

肥後の國物産館
熊本市西区島町3丁目1-1
https://www.higonokuni-bsk.com

城南地域物産館火の君マルシェ
熊本市南区城南町坂野65-1
https://hinokimi-marche.com

 

 


<メロンのこと>
「果物の王様」と称されるメロンは、芳醇な香りと濃厚な甘みが魅力的な果物。甘みの主成分である果糖、ブドウ糖、ショ糖などは体内に吸収しやすく、すばやくエネルギーになるため、疲労回復に…。豊富に含まれるカリウムには余分なナトリウムを排泄して高血圧を予防する効果が期待でき、食物繊維ペクチンが腸内を活性化するので便秘の改善や美肌つくりに力を発揮する、女性に嬉しい果物です。

今回使用しているアールスメロンのようにネット系のメロンとノーネットのメロンがあり多種多様な品種が各地でつくられています。

ネット系なら皮の網目がきれいなもの、ノーネットなら傷がなく表面が艶やかなものを選ぶと良いです。ツルが細く枯れてきたら完熟のサイン、おしりの部分がやわらかく甘い香りがしてきたら食べ頃です。

メロンの生産者を訪ねて…
全国一のトマトの産地として知られる熊本県の中でも、九州山地のすそ野に広がる八代平野は江戸時代から先人たちが幾多の困難を乗り越えながら切り開いた広大な干拓地。熊本県におけるトマトの一大産地です。その中に位置する宇城市小川町で年間20トン以上ものトマトを出荷なさる稲葉ファームさんでは、トマトと同じように愛情を込め、海沿いの温かい気候とミネラル分豊かな土壌を活かして、春と冬に収穫できるメロンの栽培をなさっています。

芳醇な香りととろけるような食感のアールスメロン…稲葉ファミリーの愛があふれる味に感動しながらお話伺ってきました。

稲葉ファームさんも出荷されるJAうきでは、春作メロンの出荷量が熊本県内でトップクラス。
アンデスメロン、クインシー、オレンジハート、アールスメロン、そしてまもなく深い緑色が夏を感じる肥後グリーンメロンと続きます。

連作障害が出ないように土づくりにも弛まぬ努力を重ねながら作業される稲葉さんはじめ熱い生産者さまが届けられる宇城地域のメロンはこちらで入手できます。

道の駅うき サンサンうきっ子宇城彩館
宇城市松橋町久具757-3
https://www.jauki.or.jp/michinoeki/

この記事を書いたひと

持田 成子

vege-table代表/野菜ソムリエ上級プロ/フードツーリズムマイスター/女子栄養大学生涯学習講師/くまもとふるさと食の名人

女子栄養大学在学中に[野菜のビタミン・ミネラルの季節変動]研究に携わったことがきっかけで野菜ソムリエの資格を取得。正しく食べることは「病気の予防=健康につながる」をモットーに予防医学を学んだ野菜ソムリエ上級プロとして食育や、レシピ開発、産地コーディネートなど食と農の周りで活動中。

野菜王国くまもとすむーじぃ35

ストレスフルな毎日に、一杯のスムージー

楠若葉が眩しく爽やかな季節になりましたが、依然としてコロナ禍は収まらず見えぬウイルスの脅威に不安とストレスを感じていらっしゃいませんか。ストレスを感じるとぐっと減ってしまうといわれるビタミンCを旬の晩柑で補給し、リラックス効果が期待されるセロリを組み合わせた、疲労回復にもおすすめのスムージーをご紹介します。


晩柑とセロリのすむーじぃです。

材料出来上がり 約180ml
セロリ          100g
晩柑(1/2個)      200g

作り方
1)セロリはよく洗い乱切りにする。
2)晩柑は皮をむき、小房に分け乱切りにする。
3)ミキサーにセロリ、晩柑の順に入れてふたをし、撹拌する。(撹拌しにくかったら、様子を見ながら水を少し加えてください)

<セロリのこと>
健康効果のほとんどは香り成分に。主なはたらきに、精神を安定させる作用、食欲増進、血圧を安定させたり、血栓ができるのを防ぐ作用などがあるといわれます。ミネラルでは、利尿作用や高血圧予防に役立つカリウムが豊富です。

<晩柑のこと>
晩柑(河内晩柑)は1905年ごろに熊本県河内町(現熊本市西区河内町)で見つかった文旦の偶発実生です。発見された場所の地名(河内)と収穫時期が春先以降であること(晩生の柑橘)から、「河内晩柑」という品種名がつけられています。
外観や大きさはグレープフルーツとよく似ていますが、果汁がたっぷりでジューシーオレンジとよばれることもあるほど。さわやかな甘みでさっぱりした味わいです。


(圃場写真: 熊本市西区 清正農園)

セロリの畑を訪ねて
地中海沿岸が原産ですが、ヨーロッパに広く自生していたようです。古代ギリシャ・ローマの時代には薬や香料、魔よけに利用されていたのだとか…。日本への伝来は、16世紀末、加藤清正が朝鮮出兵の折に持ち帰って植えたことから、「清正人参」とも呼ばれています。

日本へ持ち帰ったのが加藤清正ということは、日本初の栽培地は熊本?!…ということで「清正」の名がつく、熊本市西区の清正農園・西孝弘さんを訪ねました。清正農園さんと言えば、伝統野菜「くまもと長にんじん」の生産者として県内外で有名な方なのですが、セロリ=清正人参について改めてお話を伺いました。

セロリは代々栽培されて今年で54年目。『調べてみると加藤清正はどうも朝鮮人参の種といわれて持ち帰って植えたら、生えてきたのはセロリだったという逸話もある…』と教えてくださいました。そもそもその朝鮮出兵の際に、藤崎八幡宮に戦勝祈願のお供えをしたのがこちらの農園がある上代(神代)の野菜だったと…。

故に持ち帰った種も上代の地に植えられたのかな…と、清正公の時代に思いを馳せながら、ハウスの中に…。入った途端にツンとくる独特の香りと瑞々しいグリーンの葉っぱたちが目に飛び込んできました。そうです!こちらで栽培されているのは、「緑色種」。西さんが異業種から代々営まれる農業分野に入られて13年…試行錯誤しながらブレンドしたオリジナルの肥料を与え始めたところ数年前からより甘さが加わったので「清正のフルーツセロリ」として売り出されたのだそうです。畑でいただくとまるで「梨」のような爽やかさ甘さが口の中に広がりました。

デリケートで栽培しづらい野菜ながら、安心安全なものを届けたい信条のもとに栽培される確かな味は県内外のシェフやバイヤーに人気を博すという逸品ですが、まだまだよりよいものを作っていきたい…との語ってくださいました。

この記事を書いたひと

持田 成子

vege-table代表/野菜ソムリエ上級プロ/フードツーリズムマイスター/女子栄養大学生涯学習講師/くまもとふるさと食の名人

女子栄養大学在学中に[野菜のビタミン・ミネラルの季節変動]研究に携わったことがきっかけで野菜ソムリエの資格を取得。正しく食べることは「病気の予防=健康につながる」をモットーに予防医学を学んだ野菜ソムリエ上級プロとして食育や、レシピ開発、産地コーディネートなど食と農の周りで活動中。

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