シマノタネ通信from天草04

ちょっとオリーブの収穫に

こんなことを書いている時点で脳内のイメージは
すっかりターシャ・テューダーですが。

実際の出で立ちは、ジーンズにマリンブルーのヤッケ。

陶酔しようもありません。

 

いったいどうしたらあんなにも
しとやかな暮らしができるのか(苦笑)

 

 前置きはさておき。


先日、オリーブの収穫作業に行ってまいりました。

お邪魔したのは、五和町の二江地区にある

「こびらオリーブ園」の圃場。


こびらオリーブ園では約1000本のオリーブが育っています

 

2012年にこの地でオリーブ栽培をはじめた吉岡英二さんは、
オリーブ栽培指導員も務めた経験を持つ方。

島内外のオリーブ園を見て歩き、土地にあった栽培法として、
国内でもまだ数軒しかないという、
農薬も肥料も使わない自然栽培を実現しています。

「こびらオリーブ園」の吉岡英二さん

 

「根や法面や圃場の雑草は枯れれば畑の養分になります。
一般的には、農薬を使わないオリーブ栽培って
なかなか難しいといわれますが、この畑には幸運なことに、
オリーブの大敵といわれるゾウムシがいないんです」。

 それはまさに、土地の恵みの最たるもの。

吉岡さんはこう続けます。

 「土地の力を借りながら、オリーブが実りやすい状態を
サポートすること。それが僕の仕事です」。


こちらのオリーブ園では、虫たちも大切な働き手。
春と秋に発生する葉巻虫という名の害虫を駆除するのは、
農薬ではなく、クモやハチ、カマキリなどの虫たちです。

カマキリの卵も発見。頑張れ!未来の警備隊

 この日も到着早々、何度クモの巣にひっかかったことか。
でも葉巻虫をやっつけてくれると聞けば、
多少、クモ巣にまみれても腹はたちません。
小枝を拾って綿菓子職人ばりにクルクル回せば
むしろ楽しいくらいです。

 早速、吉岡さんから手摘みの方法を教えてもらい、
脚立を借りて、いざ木の上へ!

サワサワと風にゆれるオリーブの葉音を聞いていると
なんだかとても神聖な気持ちになります。


脚立の上から見る風景は清々しくてうっとり


と、うっとりなんかしていられない!

なんたってこの日は、同園の最後の収穫日です。
しかも、午後は雨予報。

 

急がねば!と思いつつも、
オリーブを摘むたびに、愛おしさが募って思わずパシャリ。
従業員だったら叱られてます(笑)


枝をしごくようにしてひとつひとつ手摘みしていきます

 

生のオリーブって、どんな味がするんだろう。
考えはじめたら止まらなくなって、
吉岡さんの許可のもと、
1粒だけ、オリーブをかじってみました。

完熟に近いものを選んで、ひとくち。あらら?

 

「渋みがあって食べられない人も多い」と言われたけれど、
柿の渋よりもおだやか。むしろ嫌な渋みじゃありません。

完熟に近いからでしょうか、栽培法もあるのかな?

 

グリーンオリーブはまだしっかりかたさがあるけれど
熟れてブラックオリーブに近づいているものは
皮も身も柔らかく、傷つきやすい。

そんなことも、初めて知りました。

 

実や木に傷がつかないように気をつけながら、
枝をしごいて一粒ずつ収穫。
朝8時から黙々と作業を続けたのですが。

収量は2人で30㎏に満たない量でした。

猫の手にもならず、申し訳ない(汗)。


脚立を昇ったり降りたりしながら、収穫するって
想像以上に手間のかかることなのですね。

 


脚立の上で黙々と収穫作業をする吉岡さん

 

獲った実は斜めがけにした袋の中へ入れていくのですが、
収穫作業を続けるうちに、肩に重さがかかります。
作業中はまったく意識もしませんでしたが、
腕をほぼ上げっぱなしの状態なので、結構負荷がかかるのですね。
翌日、肩がパンパンで「半端ねぇ」状態になっていました。


収穫期には毎日これを続けているのかと思うと、
オリーブ農家さんの大変さが、1ミリくらいわかった気がします。

 


この日、収穫したオリーブの実(一部)


収穫後の実はひとつひとつハンドピックで選果して
24時間以内に搾油場に運び込まれます。
種ごと実をくだき、ペースト状にして攪拌し、
でてきた果汁(油)を遠心分離機にかけて
抽出されるのがオリーブオイル。

 翌日、吉岡さんから届いた画像がこちらです。

 

 まさに、「黄金の一滴」!!

 

油が出てきた瞬間の色と香りをその場で感じてみたかった。
思わず、ポロッともらしたところ吉岡さんから

「来年は是非、搾油にもお立ち会いください」

というお返事をいただきました。

そんなこと言っていいんですか?

本気にしますよ、私w


ということで、来年は搾油の模様もお届けできるかも?
一年後を乞うご期待(笑)

天草オリーブについてはこちらにも書いています。

    ↓
http://shimanotane.jp/olive_2018kobira/

 

 

 

この記事を書いたひと

木下 真弓

天草育ち、熊本市在住、エディター&ライター、3児の母、ソルトコーディネーター、食の6次産業化プロデューサー。ふるさと愛が高じて、天草の島々にあるちいさなタネ(衣食住のくらしにまつわる魅力や、歴史・文化の糸口)を見つける・育む・つなぐことをコンセプトに「シマノタネ」を起業。

http://www.shimanotane.jp

シマノタネ通信from天草03

めざせ! 赤飯名人!

ふと、食べたくなるものがあります。

 

ほんのり塩っ気がきいていて
ほっくりとした小豆の食感がたまらなく、
噛めば噛むほど甘みが出てくるもの。

 

そう、「赤飯」です。

 

 

古くから、お祝い事には欠かせない「赤飯」。

そういえば、昔の結婚式には持ち帰り用の赤飯っていうのも
定番でしたよね?・・・よね!?(天草だけかな)
基本の赤飯は、“もち米に小豆やササゲを加えて蒸したもの”
らしいのですが、わが家では

 

もち米と小豆

 

白米と赤米

 

玄米と小豆

 

ほかにも、
白米と黒米、白米と黒米と金時豆、もち米と小豆と栗などと
組み合わせや炊き方を変え、その日の気分で
バリエーションを楽しんでいます。

こんな風に赤飯頻度が高めのわが家ですが、

実は、どれだけ数を重ねても、
及ばない赤飯というのがあるのです。

 

それが、御年92歳のハナさんがつくるお赤飯

かつて旅館の女将をしており、
お惣菜屋さんも切り盛りしていた
ハナさんがつくるお赤飯は、
上からごま塩をぱらぱら、というスタイルではなく、
ごはんそのものにしっかりと塩味をきかせたもの。

冷めておいしく、おかずがなくても満足できる。
そんな、一品。

 

お店を閉じてしまっておられる以上、
誰にもこれを体感いただくことができないのが残念ですが、
私の中では一番おいしいと思うお赤飯です。

 

蒸した後に全体に塩を混ぜ込んでいるのか?

あるいは、塩を加えた状態で炊いているのか?

思いつくものをあれこれ試すのですが、何度やってみても
あの絶妙な塩味とほっくりとした小豆の食感が再現できないのです。

どうしてもあの赤飯を食べたくて、
先日、ついに、ハナさんに教えを請いました。

「米ばあろうてつけとってな、蒸し釜にいるっとさな。
小豆は、米と別に炊くと。一晩水につけとって
鍋で炊いてやぶろー(柔らかく)なったら、米に混ぜてよか。
塩は蒸すときに、米にまずっとばな」

ということで、まとめてみました(笑)

<材料>
もち米 適宜
小豆 適宜
塩 適宜

<つくりかた>
1. もち米と小豆を洗い、それぞれ一晩、水につけておく。
2. ❶の小豆を鍋に入れ、火をひれる。小豆が柔らかくなったら、火を止めて水気を切る。
3. ❶のもち米の水気を切り、❷の小豆と塩を加えてまんべんなく混ぜる。
4.❸を蒸し器に入れて蒸す。

おそらく、こんなところでしょう。

もち米を蒸す前に塩を混ぜ込むとは!

この方法だと、全体にまんべんなく塩味がつき
しかも、小豆もほっくりやわらかくなるのですね。

もしかしたら、常識なのかもしれませんが(苦笑)
私にとっては目からウロコ!

水加減や塩梅などはまだまだ模索が必要ですが、
赤飯名人に一歩近づいた気がします。

ちなみに。

ハナさんがご主人とともに切り盛りしていた旅館「高砂屋」は、
数年前にのれんを下ろしてしまっていますが、
明治時代に「五足の靴」一行が泊まった宿としても知られます。

 

 

白秋とともに泊まりし天草の

大江の宿は伴天連の宿

 

意味もわからず、この碑の周りで走り回った
子どもの頃が、懐かしいです。

「五足の靴」にご興味のある方は
「大江教会」や「大江八幡宮」への参拝ついでに
この碑を探してみてくださいね。

 

この記事を書いたひと

木下 真弓

天草育ち、熊本市在住、エディター&ライター、3児の母、ソルトコーディネーター、食の6次産業化プロデューサー。ふるさと愛が高じて、天草の島々にあるちいさなタネ(衣食住のくらしにまつわる魅力や、歴史・文化の糸口)を見つける・育む・つなぐことをコンセプトに「シマノタネ」を起業。

http://www.shimanotane.jp
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