三星が見つけた☆くまもと5ツ星18

春蕾のフリット

草木が若い薄緑に色づき、空気がやわらかく感じられる季節。
春先はなんだか気分が軽くなって、遠出をしたくなります。
先日は芦北町へ行き、ふらりと立ち寄った直売所で春蕾を見つけました。
春蕾はアブラナの一種で、蕾菜や祝蕾とも呼ばれています。


このころんとした形が福福しく感じられて、調理するたびに幸せな気持ちになる不思議な春野菜です。


糠漬けにしたり、スープの具にしたり、炒め物にしたり。
いろいろと使える春蕾ですが、今回はフリットにします。
材料は、薄力粉と塩。


そしてビール。
薄力粉に対して同量よりちょっと多めのビールを合わせ、ゆるめの衣を作ります。


そこに、洗って水気をしっかりと取った春蕾をくぐらせ、揚げていきます。


温度は170~180度で。
衣がカラリとしたらでき上がり。
油を切って器に盛りましょう。


選んだのは宇城市の陶芸家・福島万希子さんの「しろいかたちのリバーシブルプレート」。
両面どちらに料理を盛っても様になる、ひと皿で二度おいしい器です。


芦北町の「岬の御塩」をつけながら、ちびちびと。
衣用に開けたビールが余るはずなので、春蕾のフリットをつまみにぜひぐびっといっちゃってください。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星17

桃寿かぶの即席漬け

県南で取材がある際はよく「道の駅うき サンサンうきっ子宇城彩館」に立ち寄ります。
品ぞろえが良く、活気にあふれた施設です。
珍しい野菜や果物が並んでいることも多く、今回は〝桃寿〟というかぶを発見。

全体が明るい桃色の小かぶです。


切ってみると、中は真っ白。
肉質が緻密でみずみずしく、生でかじると甘みを感じます。
せっかくの美しい色を生かしたいので、今回は加熱せず生で食べられるひと品を作ります。


まずは皮ごと、ごく薄いいちょう切りにして…。


天然の塩をふって、軽く揉みます。


かぶから水分が出てきても絞らずに。
刻みだし昆布を加えてさっと混ぜ、20分ほど置きます。


昆布がかぶの水分を吸って戻ったら、でき上がり。
桃寿かぶの即席漬けです。


皮までやわらかく、ほどよい歯応え。
口をさっぱりさせてくれるので、水炊きやもつ鍋などの鍋料理に添えるのにぴったりの副菜です。


器は水谷和音さんの鎬稜花リム鉢。
釉薬の滲んだ景色が美しく、何を盛っても上品に見せてくれます。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星16

レモンクッキー

国内で最も有名なレモンの産地といえば広島県。
でも、熊本でも県南を中心にレモンが栽培されています。
少量ではありますが10月から翌年3月にかけて直売所に並ぶので、見かけたら購入するようにしています。


レモンパスタや鶏のレモングリル、ドレッシングなどレモンを使う料理はたくさん。
塩漬けで保存もできるし、あって困ることはありません。
今日は皮ごと使ってスイーツを作ります。


薄力粉とアーモンドプードル、てんさい糖、米油にレモンの皮と果汁を合わせて混ぜて…。


薄く延ばした生地を型で抜いていきます。
今日はドイツ製のネコ型にしました。


オーブンの天板に並べて焼けば、でき上がり。


肌寒い日のおやつにぴったりのレモンクッキーです。
飲み物は温かいミルクティーがおすすめ。


器は「朝虹窯」余宮隆さんの刷毛目リム皿。
秋冬は余宮さんの器を手に取る頻度が高まる気がします。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星15

柿の前菜

毎年店頭に並ぶのを楽しみにしている「太秋柿」。
サクッとした食感で果汁が多いのが特長です。
旬が10月中旬~11月中旬と短いので、いろいろな食べ方で楽しみます。

柿を切る時は、葉を下にして筋に沿うように4等分。
もし種があっても避けることのできる切り方です。

皮をむいて食べやすい大きさに切り、器に盛って…。

生ハムとカマンベールチーズを添えてでき上がり。
粗塩とオリーブオイル、黒こしょうをかけて食べます。

器は「朝虹窯」余宮隆さんの木の葉皿。
どことなくフランスっぽいフォルムで、和食以外にも使いやすいと感じています。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星14

和梨のタルト

立派な梨をいただきました。
そのままでもジューシーで、甘くて、とってもおいしい!
しかし一人では食べきれないので、調理することにしました。


まずは皮をくるくると剥いて…。


水と砂糖、レモン汁でコンポートに。


20分ほど煮て梨が透き通ってきたらでき上がり。
シロップごと粗熱を取り、冷蔵庫で保存できます。
ヨーグルトにのせたり、蒸しパンの生地に混ぜ込んだりと、仕込んでおくといろいろと使えて便利です。


今日はここからさらにひと手間かけて、タルトを作ります。
バターと砂糖、アーモンドプードルを混ぜてクレームダマンドを用意。


クレームダマンドを市販のタルト台に入れて、ぺたぺた。


そこへスライスした梨のコンポートを並べます。


180度で30分ほど焼いて、完成。


植木町の「玄窯」齊藤博之さんのフラットプレートにのせました。
連載初回で使った器の色違いです。


ふちの立ち上がりがないので、ホールケーキをのせるのにぴったり。
石のような質感の鮮やかな緑色も珍しくて好きです。


取り皿も同じシリーズのフラットプレートで。
美しい器で食べると、やっぱりおいしく感じる気がします。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星13

オクラのカレー焼き

スーパーには年間を通して並んでいるオクラですが、旬は夏の盛りから秋の初めにかけて。
あのネバネバには胃粘膜を保護したり腸内環境を整えたりする働きがあるのだとか。
人の体が暑さに弱ってきた頃に旬を迎えるなんて、自然のサイクルはよくできているなあと思います。


オクラの下処理はとても簡単です。
がくを包丁でぐるりと削ぎ取って…。


硬い部分は切り落とします。
色よくゆで上げたい時はさらに塩もみをしますが、今日は炒めものなのでこれで完了。


しらしめ油を熱したフライパンにオクラを入れ、焼きます。


コロコロ転がしながら、焼き色が付くまでじっくりと。


夏なのでカレー粉でスパイシーに仕上げてみましょう。


全体にカレー粉を振ってから再びコロコロと転がし、粉っぽさがなくなるまで火を入れます。


皿に盛り、塩を振ってできあがり。
今回はカマルグ・フルール・ド・セルを使いました。


皿は天草の「陶丘工房」のスクエアプレート。
10年ほど前に購入したものなので、もしかしたら今はもう制作されていないデザインかもしれません。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星12

とうもろこしの冷製スープ

今が旬まっさかりのとうもろこし。

薄皮1枚を残して塩ゆでするのがいつもの食べ方ですが、今回はペーストに加工します。
まずは皮を全部むいて…。


実を包丁で外します。
段ボール1箱分いただいたので大量です…!


厚手の鍋でくし切りのたまねぎを透明になるまで炒め、とうもろこしと塩、少量の水を加えて蒸し煮します。
火が通ったらミキサーなどでペースト状に攪拌して、下処理は完了。
小分けにして冷凍しておけばいつでも料理に使えて便利です。


例えばポタージュ。

鍋に解凍したペーストを入れ、牛乳や豆乳でのばして火にかけます。


塩とこしょうで味を調えて完成です。
味を見て物足りなければコンソメを加えても。


この日は冷製にしました。
夏の日差しで乾いた体に嬉しい味です。


器は天草・久窯、江浦久志さんの蕎麦猪口。
手前が染付カナオドリ手葡萄唐草紋、奥が染付葡萄紋。
蕎麦猪口は湯呑みやデザートカップなどさまざまな用途で使えるので、つい集めてしまいます。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星11

きくらげの炒めもの

春雨サラダに入れたり、卵と炒め合わせたり。
初夏に出回る旬の生きくらげは、あると便利な食材。
コリッとした独特の食感が料理のアクセントになってくれます。
今日はシンプルに油とにんにくで炒めます。
生きくらげを洗って水気を取り、石突きを取って食べやすい大きさにちぎります。
フライパンにごま油と薄切りのにんにくを入れ、香りが立つまで熱します。
そこに生きくらげを加え、中火で火を通します。
生きくらげに油がまわり、表面がぷっくりと膨らみ始めたら火が通ったサイン。
日本酒としょうゆ、塩で味を調えて完成です。
今回は生きくらげ100gに対し、ごま油小さじ1、にんにく1/2片、日本酒小さじ1/2、しょうゆ小さじ1、塩少々を使いました。
器は平沢崇義さんの灰釉五寸深皿。
ざらりとした粒感のある肌に、きくらげのすべすべとした質感がよく合います。
この、器を重ねて焼いた〝目跡〟が好きです。
作家の息遣いや遊び心を感じられるからです。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星10

肥後グリーンのサラダ

毎年必ず食べる「肥後グリーン」。
熊本のブランドメロンです。翡翠色の果肉が美しい青肉系で、とろけるような食感と高い糖度が特徴です。
もちろんそのままで十分おいしいのですが、今日はサラダにします。
まずはメロンの果肉をくりぬき器でくり抜きます。
皮に残った果汁も捨てずに、果肉と一緒にボウルに移しておきます。それからきゅうりをピーラーで薄くスライスします。
下準備はこれで終わり。
器にきゅうりを敷いてメロンとモッツァレラチーズを盛ります。
塩をふり、オリーブオイルとメロンの果汁、レモン汁を回しかけて完成です。
器は阿蘇の陶芸家、「滝室窯」石田裕哉さんの瑠璃釉陽刻雲型皿です。
ろくろで形作った生地を型にのせて凹凸を写す「ろくろ型」という手法を採用されていて、装飾をしみじみと眺める楽しさもあります。
瑠璃釉陽刻雲型皿は、深い瑠璃色にヒゴタイのような文様。
薄くて軽いのに強さもあり、日常で使いやすい器の一つです。
余談ですが、肥後グリーンのシールに記された「甘サ一番」というキャッチフレーズがなんだか可愛くて好きです。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星09

わらびのナムル

すっかり春です。
この時期に阿蘇を散策すると、山菜の自生スポットを見つけることも。
まさに〝芽吹きの季節〟だなぁと思います。熊本市内の直売所にも山菜が並んでいます。
今回はわらびを調理します。わらびは山菜の中でもアクが強く、下処理が必要です。
こう書くと面倒そうと思われがちですが、下処理はとても簡単。
重曹を使います。大きめのバットに洗ったわらびを並べて、重曹を振りかけます。それから、熱湯を注ぎ、ひと晩置く。
これだけです。湯1リットルに対して、重曹は小さじ1。
わらびの量に応じて調整してください。
翌朝、バットの中はこんなことになっています。どす黒く見える液体は、実は鮮やかなエメラルドグリーン。
このまま捨てるのはもったいなく感じます。
でも、捨てます。
アク抜きしたわらびはよく洗って、おこわや煮物、お浸しに。
写真は醤油味のナムルです。
仕上げに粉末のえごまを散らすと味にコクが出ます。器は阿蘇で作陶されている「滝室窯」石田裕哉さんのもの。
潔いシンプルなデザインの白磁十角鉢です。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星

花わさびとしらすのスパゲティ

熊本市内の直売所に、菊池産の花わさびが並んでいました。
球磨郡水上村では購入したことがあるけれど、熊本市内でも手に入るなんて!

小さくて真っ白なわさびの花。
調理をするのがもったいないくらい可愛くて、つい見とれてしまいます。

葉をかじってみると、ツンとした香り。
天ぷらにするか、お浸しにするか…。
悩んだ結果、半量はしょうゆ漬け、残りはスパゲティにすることにしました。

茎と葉は刻んで塩で揉み、辛みを引き出し、汁気を搾ってから使います。
花は食べやすい大きさにしてトッピング用に。

花わさびの茎と葉、しらすを具にしたオイルスパゲティです。
わさび特有の辛みと爽やかな香りが大人の味。
仕上げに散らした花はふわふわとしていて食感のアクセントになります。

器は熊本市の陶芸家・平沢崇義さんの灰釉粉引六寸輪花皿。
どっしりと落ち着いた雰囲気がありながら、やわらかさも感じる大好きな一枚です。

この記事を書いたひと

5ツ星探索隊

くまもと5ツ星プロジェクトが企画するイベントのこと、KAB番組でご紹介した気になるお店や、料理人、食材など、熊本のおいしい星について特別にお知らせしたいことを発信します。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星07

不知火とにんじんのラペ

「不知火」と書いて「しらぬい」。
美しい品種名だなぁと思います。

12月頃から店頭に並ぶ不知火ですが、それはハウス栽培されたもの。
露地ものは春先から出荷が始まり、5月頃まで出回ります。
全国的に知られるブランドフルーツ「デコポン」は、不知火のうち糖度と酸度の基準をクリアしたもの。
デコポンと同じくらいおいしいのに価格が手頃な不知火は、スイーツや料理に気軽に使うことができます。
今日はフランスの家庭料理・キャロットラペを作ってみました。

まず、にんじんはしりしり器などで細切りにします。
しりしり器がなければ、包丁で千切りに。

切ったにんじんは軽く塩でもみ、しんなりさせておきます。

不知火は実を薄皮から取り出し、食べやすい大きさにします。
果肉がやわらかくて手でむくのは難しいので、包丁やナイフでカットするのがおすすめです。
薄皮に果肉が残ってしまったら、ぎゅっと搾って果汁まで余すことなく使います。

果汁を小さなボウルなどに分け、蜂蜜、エクストラバージンオリーブオイル、白ワインビネガー、粒マスタードと合わせてソースを作ります。

そのソースで、塩もみしておいたにんじんと、不知火の果肉を和えればでき上がり。

今回は不知火1玉に対して、にんじん1本、塩ひとつまみ、蜂蜜とエクストラバージンオリーブオイル、白ワインビネガーを各大さじ1/2、粒マスタード小さじ1/4で作りました。

不知火の甘さをみて、調味料の味を微調整してください。

盛り付けたのは、「小代焼 ふもと窯」井上尚之さんの5寸皿。
リムに象嵌が施されていて、仕上げに散らしたエディブルフラワーにも負けない愛らしさを感じる器です。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星06

白エビのガーリックソテー

スーパーの魚売り場の片隅に、ちょこんと置かれた天草産の白えび(芝えび)を発見。
秋に並んでいた時はとても小さかったけれど、いつの間にか体長10cmほどまで大きくなっていました。
関東では高級品の生白えびも、地元ならこの量で193円です。

体が小さな時期はかき揚げがおいしいけれど、今日の白えびは大きめなのでソテーにします。
長くて立派はヒゲは食べる時にちょっと邪魔なので、もったいないけれど(そして面倒だけれど)キッチンバサミでチョキチョキ。

フライパンに薄切りしたにんにくとオリーブオイルを熱し、にんにくの香りがし始めたら白えびを入れます。
火が入るごとに体がゆっくりと赤みを帯びてきます。

じっくりとソテーして、このくらいの赤色になったら塩をぱらり。
今日は藻塩を使いました。

皿に盛り、刻んだパセリを散らしたらでき上がり。
白えびのガーリックソテーです。
殻ごとパリパリと食べられます。

皿は天草の陶芸家・江浦久志さんが作られたものです。
江浦さんが一枚ずつ手描きする藍色の文様はどことなく南蛮の香りがして、料理もエキゾチックな雰囲気に。
天草陶石の凛とした白さに、えびの赤色がよく映えます。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星05

パール柑と鯛、ラディッシュのマリネ

熊本のブランド柑橘・パール柑。
文旦の一種で、三角・天草地方で主に栽培されています。

皮が厚くて硬く、むくのがちょっと大変。
それでも中においしい実が詰まっているのを知っているので、せっせと頑張っちゃいます。
皮をむき始めた途端に部屋中に広がるさわやかな香りも、頑張ったご褒美のようです。

果肉はプリッとした食感で、果汁は甘酸っぱく、後味はすっきりしています。
そのまま食べるのもおいしいのですが、甘すぎず酸味があるので、野菜や白身魚とも相性ぴったり。
皮をむいたパール柑とごく薄くスライスしたラディッシュをボウルに入れて…。

そぎ切りした鯛もプラス。
それから、塩とエキストラバージンオイルを加えてマリネします。

冷蔵庫で1時間ほど置き、調味料とパール柑の果汁がなじんだらでき上がり。
名付けて「パール柑と鯛、ラディッシュのマリネ」です。
鯛は天草で養殖されている「みやび鯛」を使いました。
仕上げにディルを散らすと見た目も味もお店っぽくなります。

器は八代の陶芸家・水谷和音さんの鎬輪花リム皿(5寸)。
天草陶石で作る磁器の器ですが、どこかやわらかな印象もあって、個人的にとても好きな一枚です。
和食はもちろん洋食を盛りつけてもしっくりきます。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星04

人参からいものバターのせ

上天草市の物産館『さんぱーる』で、湯島産の「人参からいも」を買いました。
小ぶりだけど、とっても甘いのだとか。

切ってみると中は橙色に近い黄色。
この色が「人参からいも」の名の由来でしょうか。

『さんぱーる』の方によると、湯島で昔から栽培されていたものの、種はいつどこから入ってきたのか分からないそうです。

何ともミステリアスな野菜ですね。

1cmほどの厚さに輪切りし、蒸してみました。

蒸し上がると黄色がいっそう濃くなり、見るからにおいしそう!

熱いうちにバターをひとかけらのせて、「人参からいものバターのせ」の完成です。
器は、天草市で作陶する『朝虹窯』余宮隆さんの鉄釉鎬リム皿を選びました。
少し緑がかった黒系の器は、料理の印象をキリッと引き締めてくれます。

人参からいもが店頭に並ぶのは12月。
11月に収穫し、1カ月ほど貯蔵して糖度を上げて出荷されます。
生産者が3名と少なく、収穫量もごくわずか。
地元の方ですらなかなか買えないという貴重なさつまいもです。

『さんぱーる』で出合えたらラッキー!
なお、お店への入荷の問い合わせはご遠慮ください。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星03

イチジクの純米酒コンポート

宇城産のイチジクをコンポートにしました。
熱湯にくぐらせて、氷水にぽとん。


指で表面をやさしくこすって皮をむき、ひと晩シロップに漬け込めばでき上がりです。

一般的にコンポートのシロップにはワインが使われますが、今回は純米酒を使ってみました。
赤酒で有名な川尻の酒造所「瑞鷹」の「熊本城」です。

県産米を全量使用し、仕込みに熊本の地下水と熊本酵母を用いた〝ザ・熊本の酒〟。
酒に詳しくない私でも直感でおいしそうだなっと思ったので選んでみました。
コンポートはいつもガラスの器で食べるのですが、純米酒で作ったからか粉引と合わせたくなりました。

植木町の「玄窯」齊藤博之さんの小皿で、高台が付いているのでちょっとスペシャル感があります。
せっかくいいお酒を使ったので、シロップも余すことなく味わいたいもの。
グラスに注いで…。


炭酸水で割ってイチジクジュースのでき上がりです。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星02

新ショウガとミョウガの梅酢漬け

直売所で農産物を買うときは、生産者の名前を確認するようにしています。

「この方の野菜は初めて食べるな」
「昨年もこの方が育てた桃を買ったなあ」

そんなことを考えながら食材を選ぶと、なんだかちょっと楽しくなるからです。
中でも、目にすると必ず手に取るのが、森田良光さんのショウガ。

森田さんは宇城市のベテラン有機農家。
「無農薬では育たない」と言われてきたショウガの有機栽培を、今から約40年前に成功させたスゴい人です。
森田さんのショウガにはファンが多く、私もその一人。

香りが強く、辛みはすっきりとしていて、えぐみを感じません。
これは私の主観ですが、見た目もプリッとしていて元気そうじゃないですか?
9~10月に森田さんの新ショウガが出荷されたら、梅酢漬けを仕込みます。
作り方は、新ショウガを皮ごと千切りにして、熱湯でさっとゆでて、梅酢に漬けるだけ。
私は毎年白梅干しとシソ梅干しを作っているので、梅酢はそのいずれかを使います。
白梅酢を使う時は、千切りにしたミョウガを加えるのがポイントです。

こんな感じで新ショウガとミョウガをボウルいっぱい刻んで…。

熱湯でさっとゆでたら、清潔なガラス瓶に詰めて…。

白梅酢をひたひたになるまで注ぎます。
私は完熟の梅を漬けるので、白梅酢もほんのりピンク色に上がってきます。

でも、この白梅酢だけだとショウガがほとんど色づかないので、ミョウガの色素に助けてもらうというわけです。
こうして仕込んだ新ショウガの梅酢漬けは薄桃色にでき上がり、料理にさりげない彩りをプラスしてくれます。

この日は上海風焼きそばに添えてみました。
器は「小代焼 ふもと窯」井上尚之さんのもの。

藁灰などの自然の釉薬を用いて薪で焼く器と、森田さんが40年以上かけて土と向き合って育てた新ショウガ。
通じるものがある気がして、食卓で組み合わせてみました。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

三星が見つけた☆くまもと5ツ星01

シャインマスカットのサラダ

シャインマスカットを初めて口にしたのは10年ほど前のこと。
宇城市の巨峰農家を取材した際に、「まだ試験的に栽培しているものだけれど」と試食用に1粒いただいたのでした。
パツッと張った翡翠色の実が太陽の光を受けてぴかぴかに光っていて、見るからに食べごろ。
歯を当てると皮がパリッと割れ、濃厚な甘さの果汁が実から溢れ出てきます。

な…なんだこのブドウは…!

甘い!
果汁が多い!
ものすごく香りがいい!

この1粒に受けた衝撃は、今でもはっきりと覚えています。

今やシャインマスカットは超人気の品種。
贈答向けの高級品で、自分のためにはなかなか気軽に購入できません。
しかし、あちこちでシャインマスカットの魅力を語ってきた成果が出たのか、今年はいただきもので満喫しています(ありがとうございます!)。

次々と届くので、贅沢なことにシャインマスカットの消費で大忙し。
そのまま味わうだけでなく、富豪になった気分でいろいろな料理に使っています。

例えば、シャインマスカットのサラダ。

スライスしたシャインマスカットにカッテージチーズを散らして、岩塩とブラックペッパーをガリガリと挽き、エクストラバージンオリーブオイルをたら~り。
このままでも十分なのですが、ミントの葉を散らすと清涼感が増します。
ちなみに、写真のシャインマスカットは植木町の「吉次園」のものです。

器は、同じ植木町に工房を構える「玄窯」齊藤博之さんのフラットプレートを選びました。
大理石のような独特な肌合いにひと目惚れして、サイズと色違いで3枚持っています。
これは直径16cmほどで、チーズや果物を盛り合わせるのによく使います。
デニッシュやケーキをのせるのにもちょうどよいサイズです。
印象的なデザインですが、ふちの立ち上がりがないので、料理を程よく引き立ててくれます。

この記事を書いたひと

三星舞

雑誌「九州の食卓」副編集長を経て、フリーのエディター・ライターに。食に関する取材が得意で、料理と器も好き。九州中を駆け巡って各地のおいしいものを味わってきた経験を生かし、フードコーディネーターとしても活動中です。

ブログ一覧へ

ブログカテゴリ

5ツ星探索人