野菜王国くまもとすむーじぃ34

春の芽吹きでカラダにスイッチオン!

三寒四温を繰り返しながら、春がもうそこまで来ているようです。春の野菜には、眠っていた体に細胞を目覚めさせ、胃腸の働きを活発にしてくれる成分がたくさん含まれています。

ふきのとうに代表されるほろ苦さもその代表格。春の芽吹き野菜で、体にスイッチをいれてみましょう。

清らかな水があるところで育つ「クレソン」と、おしりがプチっとした可愛いフォルム、今が旬!の、春らしいレモンイエローのサラダみかん「はるか」の組み合わせをご紹介します。

 材料出来上がり 約150ml
クレソン   2枝
はるか    2個
(はちみつ    小さじ1)

作り方
1)クレソンは洗って一口大にちぎっておく。
2)はるかは、皮をむいて、白い皮をつけたまま、中心にある種をさけるようにそぐようにカットする。
3)ミキサーに、クレソン、はるかをいれてなめらかになるまでまわす。ピリッと感が気になるときは、はちみつを加えてみる。


<クレソンのこと>
原産地はヨーロッパで、3000年以上昔から健康効果があると考えられて利用されてきた最古の薬用野菜のひとつといわれています。日本へは伝来したのは明治初期、滞在する外国人向けに栽培が始まりましたが、繁殖力が強く各地で水辺や湿地で自生し広がっていきました。熊本県内では、世界遺産登録された天草・﨑津に1880年頃フランス人宣教師ボンヌ神父が伝え、その名前が由来し「ボンゼリ」とか「パ―テラゼリ」と呼んでいます。パーテラ(ポルトガル語のパーデレの訛り=神父様、「セリ」は日本古来の野草「せり」というわけです。外国から赴任した神父によって持ち込まれたものが地域食材として根付いてきたことを知る呼び名です。

肉料理のつけあわせとして馴染みふかい野菜ですが、健康に重要とされるカリウム、食物繊維、タンパク質、カルシウム、鉄、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、葉酸、亜鉛、ビタミンA、B6、B12、C、D、E、Kの17もの栄養素を含むスーパーベジタブル。鉄や葉酸をふくむので、貧血予防にも効果が期待されています。

ピリッと感じる特有の辛み成分はシニグリンといい、消化吸収を促し、食欲増進や胃もたれの解消に力を発揮する抗酸化成分です。通年栽培されている地域もありますが、旬はこれから…3月から6月です。店頭で見かけられたら是非、スムージーやサラダで召し上がってみませんか。

 

<サラダみかん「はるか」のこと>
サラダみかん「はるか」は日向夏(サマーオレンジ)の自然交雑実生(種から育つ)から選抜しながら育成されて、1996年に品種登録された、比較的新しい柑橘です。

「はるか」は、レモンのような見た目に反して酸味が少なく、カットした途端広がる爽やかな香りで春の訪れを感じさせてくれる爽やかな柑橘です。ゴツゴツとした、酸っぱそうな皮からは想像できない上品な甘さで、酸味の少ないぷるっとした食感が人気です。


<クレソンの生産者さんを訪ねて>

清らかな水あるところにクレソンあり!豊富な地下水を誇る熊本にはあちこちの清流域に生産者さんがいらっしゃるのですが、菊池川水系の源流に近いところ、「「なないろ農園」亀川直之さんのほ場をお訪ねしました。山々に囲まれた、ピンと張りつめたような澄んだ空気、静かな流れのところにクレソンが生育していました。お邪魔したのは風が冷たい一日だったのですが、水温は程よい温かさ。年間を通して15℃くらいだとか…。水温と地温、より自然に近い環境で水の流れや砂利質の土壌でないと栽培がうまくいかないとおっしゃるのです。実は元エンジニアの亀川さんは東京出身で移住して就農した方。少量多品目の有機JAS認定生産者なのですが、研究熱心、調べて実践し、栽培の技を確立し、JAS認証等で裏付けていかれる様は研究肌です。「クレソン」栽培についても、まだまだ探究の途上とおっしゃいますが、お話伺いながら摘んで食べたピリリと、独特な香りのクレソンは清々しい立派な味でした。

この記事を書いたひと

持田 成子

vege-table代表/野菜ソムリエ上級プロ/フードツーリズムマイスター/女子栄養大学生涯学習講師/くまもとふるさと食の名人

女子栄養大学在学中に[野菜のビタミン・ミネラルの季節変動]研究に携わったことがきっかけで野菜ソムリエの資格を取得。正しく食べることは「病気の予防=健康につながる」をモットーに予防医学を学んだ野菜ソムリエ上級プロとして食育や、レシピ開発、産地コーディネートなど食と農の周りで活動中。

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