

料理人が斬る! 熊本の逸品食材09
松の内も明けてしまいましたが本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて新年一回目の5ツ星ブログはまずは問題から。
↑これ何でしょう?
ヒント
沢山咲いていました。
花が咲きました。
夏の時期にたまたま訪れた圃場で撮り収めたものです(^O^)/
答えは僕も初めて見たんですが、お正月にお節料理の中に入る熊本市が指定する熊本伝統野菜『肥後野菜』の一つ熊本長人参っ!
葱坊主にしては背が高いなーとか思いながら生産者さんとお話していました。
実は僕。。。人参嫌いなんです(笑)
でも調理次第で食べれるんですけどね。
では今回熊本長人参について書いちゃおーっと♪
熊本長人参は江戸時代に熊本へ運ばれた東洋系の人参で、熊本で作り続けられてきた伝統野菜として熊本市が指定する「肥後野菜15品目」の一つに指定されています。
名前そのまま長い人参なんです(笑)
土がついていると牛蒡みたいですよ。
熊本では昔から縁起物として正月のおせち用などに生産されており、現在田崎市場に出荷されるのは12月25日に一回だけと聞いています。
それもあり収量が少ない時はビックリするくらいお値段も高くなります。
以前取引した際、1箱10kgでしたが収量が少ない年で原付が中古で買えるくらいの時もありました(´-ノo-`)ボソッ…
人参なのにビックリですね・・・
収穫に手間がかかる事など今は生産者も少なくなり中々目にすることも少なくなってきましたが、おく村がお世話になっているのは生産者さんは伝統の野菜を絶やさないよう熊本長人参を作り続けておられるんですよ。
季節は冬場で3月頃まで収穫されます。
おく村ではお節料理に欠かせない熊本の特産物の一つとして熊本長人参を酢漬けにして叩き牛蒡と共に使っています。
色は鮮やかな赤に近いオレンジ色でその名の通り長いんです。
長い物は1mくらいになります。
数回人参収穫を見に行きましたがその収穫スタイルはまさに化石発掘現場(笑)
地上より抜くと長い人参が途中で折れたりするので長人参の横をユンボで1mくらい掘り、その穴の中から土を外しながら長人参を収穫していきます。
子供たちは喜んで収穫のお手伝いをしますが僕なんて穴から上がってこれなくなり・・・以下省略(笑)
さてこんな手間のかかる長人参を今回酢漬けをご紹介します。
おく村では、かつお節の香る『土佐酢』に漬けていきます。
皮をむき長さを揃えた長人参を一度ボイルします。
竹串がスッと刺さるくらいの硬さになったらそのまま準備した土佐酢に漬け込み冷ませばOK!
次の日にはしっかり味が染み込んでいると思います。
小分けにして食べる時に綺麗な取り箸を使ったりすると1ヶ月くらいは余裕で持ちますよ。
食べる時に胡麻やかつお節なんて掛けちゃうとさらに美味しく食べれと思います。だって僕が食べれるから~(笑)
今回はお年玉として気になる土佐酢のレシピでも~
<おく村秘伝!土佐酢>
米酢200cc
清酒200cc
みりん70cc
出汁300cc
砂糖50g
薄口醤油100cc
家庭用に少しアレンジしていますので調味料はお好みで調整してください。
まずお酒とみりんに火を入れアルコールを飛ばします。
それにかつお節と昆布で取った混合出汁を加えて米酢、砂糖薄口醤油を足す。
沸騰寸前に追い鰹をしすぐ火を止め灰汁が出たらサラッと灰汁をすくいネルなどで濾します。
上達したら追い鰹多目など挑戦してください。
かつお節の香る酢美味しいですよ。
冷めたらペットボトルなどに移して冷蔵庫保管にすると半年くらいは大丈夫かと。
この土佐酢万能なんで各種様々なお料理に使ってください♪
ではでは今年も不定期ブログ頑張ります。
京都の老舗割烹 熊魚菴(ゆうぎょあん)たん熊北店にて修行後、帰熊。自ら土の上に立ち、生産者や生産物と対話する事で得られるインスピレーションを元に献立を立てることを大切にしている。日本料理の伝統文化を守りつつ、新しい世界にも邁進し、現在は肥後野菜のひとつでもある水前寺のりの普及活動にも力を入れている。
2014年、KAB開局25周年記念の[元気フェスタ]にて、熊本県内の超こだわり食材を使い、タレントの上田アニとともにオリジナルの5ツ星弁当を制作。
[日本料理 おく村について]
明治3(1870)年魚屋町にて魚の仲買経営から小さな店[飯屋 おく村]としてはじまる。昭和2(1927)年料亭おく村となり、2020年で150周年の歴史を持つ。現在飯屋おく村から六代目。