料理人が斬る! 熊本の逸品食材08

本陣! おく村が、水前寺のりを斬る(1)

随兵寒合(ずいびょうがんや)熊本では藤崎八幡宮秋季例大祭が終わると朝晩がめっきり冷え込んできます。これを隋兵寒合(ずいびょうがんや)と言ったりします。

最近は祭りの事などでバタバタと走り回っていることもあり随分間が空いちゃいました。気を取り直して今回はおく村イチオシのスーパー食材、水前寺のりを書いてみます。

水前寺のりって書き始めると止まらなくなるので数回に分けて書いてみます。

今回は『食べる』に着目します。

ところで皆さん水前寺のりってご存知ですか?
おく村と繋がっている方はよく存じてらっしゃると思いますが。学名はスイゼンジノリ、明治の初めオランダの植物学者スリンガーという人が水前寺公園(水前寺成趣園)内で発見し、世界に発表したことから地名が名前になっていたりします。

生産地も熊本だけではなく福岡、宮崎、など九州の中でも阿蘇の水系で育っているようです。

今では福岡と熊本だけになってしまっていますが、福岡では寿泉苔(じゅせんたい)や川茸(かわたけ)等という名称になってたりします。

採れたての水前寺のりは生でも食べることが出来ますが、腐食のスピードが早くしっかりと下拵えをしなくてはなりません。通常僕達の所へ来る水前寺のりは小さな虫や貝、他の藻類などを取り除き塩漬けにすることで殺菌して出荷されます。

その期間は最低2週間。とある生産者さんは2か月半をかけるところもあります。

おく村では熊本の生産者さんのお手伝いの意味も込めて塩漬け、掃除の作業を手伝ったりしていますがもの凄く手間のかかる作業で価格も高騰化してしまうのも理解できたりします。

塩漬けから貝やエビなど共生する生物や水前寺のりの仲間である他の藻類などを取り除いたりしながら丁寧に仕上げていきます。この作業を数日間繰り返すと赤い色をした水分が出てきて同時に水前寺のり自体は鮮やかな緑色になります。

これが→
 こうなって→
そして、、、、、

ここで一般流通品となります。

現在、フレッシュとしての一般販売には料理屋さんなどが主で価格等まだまだ難しい部分も多い事もあり食品などに添加し一般販売をしています。

福岡の水前寺のり入りこんにゃく

現在、熊本では 『水前寺のりくまもとの会』と言う会を立ち上げ、食べる事で、使う事で水前寺のりを後世に伝えていくという活動を行っています。おく村は初期メンバーとして色々な食の研究をしながら商品開発を行っています。

その 一部に水前寺のりをふんだんに練り込んだ素麺、メンバーの生麩屋さんは和スイーツとして水前寺のり入り生麩万十を制作販売しています。

2015年春に益城町にグリーンサイエンスマテリアル(金子慎一郎社長)さんが新たにオープンした水前寺のりのプラントで熊本産の水前寺のりを広く伝えていけるようにしたいと思っています。

水前寺のり。江津湖に群生していた頃を知る方達は年輩になり、子供達に伝えていくと言う事が難しくなってきています。聞いた話しでは以前は江津湖で泳いでいると口の中に水前寺のりが入ってくる位居たそうです。昭和28年の6.26大水害後、今は皆無。

世界でも熊本県と福岡県にしか生息出来ていない水前寺のりを熊本県の誇りとして子供達に伝え、後世に残していかなければなりませんね。その為には食卓に上がる水前寺のりを食べながら、対話を通して伝えていって欲しいと願っています。

この記事をご覧の皆さん、可能であれば是非シェアして頂き、水前寺のりを食べる事で守っていく活動のお手伝いを宜しくお願い致します。

それでは、第二弾へとつづきます、、、

この記事を書いたひと

奧村 賢

京都の老舗割烹 熊魚菴たん熊北店にて修行後、帰熊。自ら土の上に立ち、生産者や生産物と対話する事で得られるインスピレーションを元に献立を立てることを大切にしている。日本料理の伝統文化を守りつつ、新しい世界にも邁進し、現在は肥後野菜のひとつ熊本県産水前寺のり[翠玉]の普及活動にも力を入れている。
2014年、KAB開局25周年記念の[元気フェスタ]にて、熊本県内の超こだわり食材を使い、タレントの上田アニとともにオリジナルの5ツ星弁当を制作。

[日本料理 おく村について]
明治3(1870)年魚屋町にて魚の仲買として小さな店[飯屋 おく村]としてはじまる。昭和2(1927)年料亭おく村となり、飯屋から数えること148年の歴史を持つ。料亭としては三代目。

https://www.e-okumura.net/
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